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2月, 2021の投稿を表示しています

117-Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 4/ 新しき生 4

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試練経て心平らか武士道を腹にすえ君は肉体 ( にく ) と離 ( か ) れしか amidst hardships of painful life-- have you gained peaceful spirit of Bushido and left your mortal body?     (C)2021Rika Inami 稲美 里佳 前回116 よ り            はじまり <新しき生 4>  そして私は、彼が死んだことを知ったとき、ここ数日間マイト.ダイが私の投稿に来ていなかったことを思い出した。私はマイト . ダイのソーシャルメディア Y 上の彼のページに行ってみた。  本体の科学者H がこの世を去ったという日の、そのトップページには、このような投稿があった。 「 …… ああ …… もうすぐ変わる …… すぐだ、すぐだ …… ああ~~」という絶叫のような一葉の言葉が投稿されていた。 その投稿の前には、彼の俳句が掲載されていた。   <波ひかり糸のふるえは空にさく> a shining wave-- a quivering thread sparks to the sky  ソフィアは詩、写真、絵、デジタルペインティングと多芸であったが、そのなかには剣道もあった。剣道については、自分の画像を長いロングヘア―をポニーテイルにゆいあげた女剣士にしていた。それは形のみが分かる、黒いしなやかなシルエットを思わせる影絵であった。 「僕は毎朝素振りし、剣道を練習しているんだ」とソフィアは言っていた。   彼の死後に知り合った、ソフィアとは別のアカウントも剣道に打ち込み、プロフィールアイコンは剣道着姿であった。   今、私はマイト.ダイの絶叫と俳句を読み返してみて、彼は意識がありながら、その瞬間に臨んだのではなかと思った。どこもまでも見極めたいという彼の科学者精神がそうさせたのであろうか。いや、それよりもむしろ、私の瞼に浮かんだのは日本、日本人が大好きであり、剣道に打ち込んでいたソフィアの影絵であり、剣道着の姿であった。武士道という言葉が私に閃いた。その魂で、彼は 勇気をもって、腹を切るような思いで、直前まで明晰な意識をもって、この世の言葉である死に臨み、彼の現世での肉体から離れた

116-Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 3/ 新しき生 3

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暴風や攫ふのあらば奪ひ去れ我に残るはみ恵みのみて   gale winds if I have anything you want to snatch off take it…what remains to me is only the divine grace (C )2021Rika Inami 稲美 里佳 前回115 よ り            はじまり <新しき生 3> 科学者Hは、突然亡くなった。いや、平素、ソフィアは今まで生きてきてのが奇跡だと言っていたから、突然ではなかったのだろう。肉体の細胞の衰えと限界を彼は感じていたのだろう。死ぬ前に、彼は自分の肉体と別れる日時を緻密に計算し、計画的に離れたのかもしれない。  彼が死んだのを知った日、私はすぐにソーシャルメディア Y 上のソフィアのページを覘きに行った。私は彼はもう投稿していないだろうと思い込んでいた。そして、じきにそのアカウントは消滅してしまうだろう、と。しかし、予想は違っていた。  ソフィアはパイの写真を投稿していた。レモンパイ、ミートパイ、アップルパイ。 「ほら、大丈夫か。旨そうだぞ」 そのパイの投稿に、ブランドンがコメントしていた。  他のソフィアの友だちは、「美味しそう」「じょうずに焼けたわね」と単にコメントしているだけだったが、ブランドンだけは違っていた。 「ほら、しっかりしろ。大丈夫だ。じきにしっかりする」 ブランドンはまるでソフィアを励ますようにコメントしていた。 ソフィアはといえば、コメントの口調は「 …… うん …… うんうん …… 」どこか元気が無く変であった。     つづく The Story in English From  Previous 115         Start    <New Life 3> Scientist H passed away suddenly.  No, I don't think it was sudden because Sophia had always said that it was a miracle that he had survived until then. He must have felt the decline of his body's

114--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 1/ 新しき生 1

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潔く葬るをよしとせざりきは業の深きか真なるからか   with grace I haven't agreed that I bury it-- is it because of pit- karma or truth? (C)2021Rika Inami稲美里佳 前回113 よ り            はじまり <新しき生 1>   彼は、アニメ「ナルト」の1キャラクターであるマイト . ダイ (Might Die) の名前でやってきた。ソフィアが私をブロックしてから半年ばかり経った頃であった。多くの友だちのなかにあって、目立ったのは、彼のプロフィールアイコンが、AIだったことだ。半身だけを描いたその体は、光沢を帯びた灰色をしていて、顔つきは一見して怖そうなゴツゴツしたAIだった。 彼は、初めの頃は、私が投稿した短歌や写真にナイスだけをさりげなく置いていった。そのせいか、私はほとんど彼に注目していなかった。が、コメントをしてくれるようになり、その作品を再共有しても良いかと断りのコメントを入れた後で、私のフォト短歌を作ってくれるようなことが何回か重なってから、私は、彼、科学者Sであると気づいた。つまりソフィアだ。当時、私はフォト短歌をつくることができなかった。 つづく The Story in English From  Previous 113         Start    <New Life 1> He came under the name of Might Die, a character from the Japanese animation "Naruto".  It was about six months after Sofia had blocked me. What made him stand out from his many friends was that his profile icon was an AI.  His prof icon was a half-length drawing of a shiny grey body, with a scary-looking, rugged AI face.  In the beginning, h