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121-Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 8/ 新しき生 8

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  ゆっくりと我たちあがり雪しろの泥(ひじ)の鏡に姿映しぬ gradually I stand up and reflect myself in the mirror of the muddy water from the melting snow (C)2021Rika Inami稲美 里佳 前回120 よ り            はじまり  いつしか詩を通してシャロンは何人か友だちを作っていた。その中には私の友だちもいた。私が一色が私のフォローをするように頼んだと思っていた友だちだった。写真の投稿は続いていた。  ある日、彼女は写真無しで、 「此処に私の家があったのよ」とテキスト文だけの投稿をしていた。そこには、イギリスにある住所地が書かれていた。 「おいおい、なんてこった。其処はオレの親父が死んだ後に焼かれた焼場だぞ」友だちの 1 人がコメントしていた。  こんなことがありながらも彼女は人の輪なかにとけこんでいった。   つづく The Story in English From Previous 120    Start          Before long, Sharon had made some friends through poetry. One of them was a friend of mine. She was the friend I thought Isshiki had asked to follow me. Sharon continued to post pictures.        One day, she posted without any pictures. Just a text message that said, " Here is where my house was." "Wow!  That's the crematory where my dad was burned after he died," one of her friends commented.     Despite all this, she was able to join in the people's ring and get along with

120-Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 7/ 新しき生 7

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120 こもり沼(ぬ)は雪に閉ざされ行き難し君もさすらふ名残りの魂 ( たま ) か still, the secret pond is closed by snow and difficult to reach… a lingering soul drifting away maybe, you, too (C)2021Rika Inami稲美 里佳 前回119 よ り            はじまり <新しき生 7>   私は SNS Y 上のシャロンのページも訪ね、投稿を見た。彼女のページは膨大な量の写真で埋められた。もうずっと前からアカウントはあるかと錯覚するほど、数百枚? 数千枚? はあろうかと思われる写真の量であった。世界の至るところの写真が投稿されていた。各地の海山の名所、人々、花々、動物、魚類 ...... 古いモノクロ写真からカラー写真。延々と写真は続いていた。始まりの日を知るため、私はマウスを動かして写真をしばらく遡った。はじまりは、私にチャットで話しかけてきた日であった。私には、その始まりの日を消すために、彼女は写真を次々に投稿したように思えた。フォロアーや友だちはなく、コ メントする人もいなかった。  その膨大な写真の投稿は、ただ彼女のアカウント作成時期を知られまいとしてだったのだろうか。同時に 、まるで世界を巡りこの世の全てを知りたいという彼女の願いから来ているようにも私には見えた。 つづく The Story in English From  Previous 119     Start    <New Life 7> I also visited her page on SNS Y and saw her posts. Her page was filled with a massive amount of photos. Hundreds?   Thousands of photos? To the point where I was under the illusion that she had an account for a long time now?   Photos seemed to be posted from all over the world.  Places

119-Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---New Life 6/ 新しき生 6

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  蝋燭の焔のゆらぎ … 訪ふは君の御霊か春彼岸入    flickering candle flame is it your spirit visiting us? the first day of the vernal equinox week   (C )2021Rika Inami 稲美 里佳 前回118 よ り            はじまり <新しき生 6>    私はシャロンの詩を読んだ。 ------     -----    ----     -----     -----     -----    今、私は長くて暝いトンネルを抜けてきたの 真っ暗な中をずっと歩いてきたの 真っ暗だから道があるかどうかも分からなかったわ ただ遮二無二に歩いていたわ 右往左往しながらも 這いながらも なんとか進んだわ ときどき 悲鳴をあげることもあったわ あ 誰かが私の叫びを聞いたみたい 「どうしたんですか」 声を聞いたとき そこに光があるのかしらと思ったけれど ここから抜け出すことができるのかしらと思ったけれど ただ こう言っただけだったわ 「あ なんでもないんです …… 」 それ以上 話せるほどの自信はなかったわ 語れる苦はまだいいわ 語れない苦があるなんて  誰が知っているでしょう そして また進んだわ ここまま生きていることに疑問を覚えたけど 闇の世界に慣れてきたのかしら とにかく生きて歩いていることだけは感じていたわ ………………… ………………… あ ぼんやりと何か見えてきた 光かしら あ きっと光だわ 向こうからのようだわ ” 私は光に向かって歩いていった ……. ------     -----    ----     -----     -----     ----- 詩にはトンネルと満開の桜の写真が添えられてあった。 私は彼女の詩を読み、「意味が深そうな素敵な詩ですね」と軽く感想を述べた。   シャロン:「今日子さん、ありがとうございます。私は長い間、痛みと恐怖のために祈ることができませんでしたが、今は良くなっています。金色の煌めきのなかにも銀色の糸 が光っています」 つづく The Story in Englis