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12月, 2020の投稿を表示しています

109--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 29

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  しんしんと樹々に降り積む銀雪をしづめ深むる里山もやう endless silver snowfalls piling up on the trees are deepened by the tranquil beauty of mountains in the vicinity (C)2020Rika Inami 稲美里佳 前回108 よ り   華乃とのコメントのやりとりをしている間、私は素早くコミュニティにアクセスし、華乃がアーノルドに破門された原因になった投稿を探した。マウスを動かしパソコンいっぱいにひろがった投稿に目を走らせ過去の投稿をさかのぼっていった。2週間前の投稿にそれはあった。以降、華乃は投稿していなかった。私はこれだと思った。     彼女の投稿には次のように書いてあった。   「私は英語俳句は、日本の俳句と較べて簡単だと思います。名詞を多く使い、動詞はほとんど変化のない現在形を並べて作る英語俳句とは違って、日本語俳句は、切れ字や、助詞、助動詞の使い方に習熟していなければなりません。動詞も活用や時制の変化があります。 こうした品詞、言葉の使い方一つで、日本語俳句はその完成度に違いが出てきます。以上のことから、私は、英語俳句は日本語俳句に較べて、なんて簡単なんだろうと思っています」    あ、これが、アーノルドを怒らせたにちがいないと私は思った。それにしても、単刀直入に、熱心に俳句や短歌を研究している海外の詩人たちの前に、よくもこれだけ書くことができたなあ、と私は内心絶句していた。  なるほど、華乃の言い分ももっともなものがあると思うが、私は、英語俳句は、一つの単語そのものの意味に深さがあり、また音節の響きや並び様で一句に味わいと空間をもたせることができると感じていた。    こんな感想とは別に、私は、会員としてお世話になっているコミュニティに、こうした不躾な文章を投稿できる華乃の無神経さに疑問を抱いた。果たして、華乃は、人間なのか、相手の気持ちを慮る日本人なのか ……    続いて。   「それで、今はコミュニティから出されていて、エドワードの弟子になっているんです」   と華乃は言った。エドワードとは、イギリスの若い詩人である。   「そうなんですか」    ふ~

108--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 28

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導きの現(うつつ)を辿る不可思議さ尋ねしものの自づ見えきて how mysteriously God has led me to live in the reality-- what I've been looking for becomes visible as it is (C)Rika Inami 稲美 里佳 Y608 前回107 よ り     いつしか華乃は、短歌もつくるようになっていた。そんな創作意欲旺盛な彼女だったが、 Haiku-Tanka コミュニティには投稿しなくなっていた。私自身、ほとんどコミュニティには投稿せず、独自にやっていたので、それについては特別なことではなかったが、久しぶりに私の短歌にコメントを入れにきてくれた華乃が、突然、ぽつりと言った。 「実は、わたし、アーノルドに破門を言い渡されたんです」と、華乃は言った。 「破門」 …… 自由気ままに何ら束縛されず、自分の詩心を短歌という定型詩で表現しているだけの私は、「破門」という仰々しい言葉に驚いた。 「どうしてですか?」 「ちょっとまずいことを Haiku-Tanka コミュニティで言ってしまって、アーノルドがカンカンに怒ってしまったんです」 アーノルドはアメリカの詩人で、コミュニティーの管理者の一人であった。彼は俳句創作に長け、数々のコンクールで受賞し、また短歌も独自に研究していた。コミュニティのなかでは大きな看板詩人であり、唐突にコミュニティに加入した私を受け入れてくれたのも彼であった。 つづく The Story in English From  Previous 107 Before I knew it, Kano had started to write tanka poems. Although she was very creative, she had stopped posting to the Haiku-Tanka community. However, when she came to comment on my tanka for the first time in a while, she suddenly said, "Actually, I've been excommunicate

107--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 27

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  累々に身に起きしこと思ひみるにまぼろしならず今日の我なす on thinking over what happened to me one after another... they are not illusions but what makes me as I am.   (C)2020Rika Inami 稲美 里佳 前回106 よ り     華乃と出会って日が浅い頃、彼女の私の短歌へのコメントで印象に残っている一つがある。 冬越しす熊笹の葉のはなやげる春となり我が毒解かるるや   in spring... Kuma Bamboo grasses passing the winter start freshening neutralizing my inner poison   ※ Kuma bamboo grass is said to counteract the poison. In Tanka Poetry, I draw not only things from nature but also my inner world,  which means that I abstract nature and express myself.   熊笹は解毒作用があると言われています。 ( C ) Rika Inami   華乃のこの歌へのコメントは「『熊笹が華やぐ』なんていう表現はいまだかつて聞いたことがありません。まあ、新奇の表現というものなんでしょうか」 (彼女のコメントは私の日本語短歌についてであった。私は件『華やぐ』の英訳を『 freshening 』としたが、それについては何も言及しなかった。)   少々痛いコメントであった。熊笹が華やぐ、言われてみれば短絡的な表現だったのかもしれない。が、私には、その時ほんとうにそのように見えたのだ。あるいは語彙が少なく言葉足らずで、そのように心の勢いのままに詠ったのかもしれない。雪深い温泉地。仕事の帰りに寄った近場の温泉であった。ふと周りを見ると熊笹が早春の雪のなかから見えたのだ。私の喜びはひとしおではなかった。また、当時、私はソフィアとの関係に悩んでもいた。女友だちの多いソフィア、無意識にも人種差別をするソフィアと彼の友だち。そう、私は、実