投稿

111--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 31

イメージ
  魔の雪は我が身にふりて凍らせむ魂 ( たま ) さまよふは色無き原野 Devil Snow falling on my body and freezing... my breath wanders in colourless fields   (C)2021Rika Inami 稲美 里佳 前回110 よ り ブランドンはソフィアと親しい友だちであったが、他のソフィアの友だちとは一線を画しているように見えた。いいかえれば、その友だちグループとなれ合っているようには見えなかった。ソフィアはそんな友だちが、私から見て何人かいるようであった。ブランドンは彼が話してくれたような仕事をしているように思えたが、ソフィアのそんな友だちのなかには、本当に本人が語るような経歴の人物か疑わしい人もいた。友だちもごく少なかった。多く作ろうともしていないように見えた。本人だと言って写真を私に送ってくれたが、疑わしかった。 科学記事を投稿していたその人は、ソフィアをサポートしていた科学者だったのか? が、私に優しくとても良い友だちであった。 ブランドンとのチャットの内容は、何気ない日常生活のあれこれであった。何を食べているのか、何を飲んでいるのか、どこで食品は買っているのか等々。ブランドンは健康を気遣い自家製ナッツスムージーを飲んでいる等々。そんなやりとりが続いたが、ソフィアのブロックに煮えくり返り我慢がきかなくなった私は、とうとう彼のチャットボックスに、勝手にソフィアの愚痴を入れるようになっていた。 つづく The Story in English From  Previous 110       Brandon was a close friend of Sofia's, but he seemed to be different from the rest of Sofia's friends. In other words, he didn't seem to fit in with that group of friends. Sofia seemed to have some friends like that, from what I could tell. Brandon seemed to be doing the kind of

110--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 30

イメージ
  しかと見む君の眼差し虚と実のあはひに潜む真実(まこと)なるかも I look into your eyes exactly maybe your truth is lurking between falsehood and reality   (C ) Rika Inami 稲美 里佳 前回109 よ り ソーシャルメディアYで知り合ったチャットの友だちは、ソフィアの他にもいた。ソフィアの友だちサークルを通じて友だちになっていた。ソフィアが私をブロックした後にチャット友だちになった。 ブランドンはアメリカ人で、機械技師を退職後、雑誌編集者の職を経て外国人に英語を教えていた。彼の嘆きは、アメリカが移民を多く入れ過ぎたので、英語が乱れてきているということであった。ソフィアと同じように日本人が好きだということで、私と友だちになっていた。詩も若い頃に書いていたといい、俳句や短歌のような短詩は嫌いだといいつつも、私の投稿を見てくれていた。チャットの前に彼は私に若い頃に書いたという自作の詩をメールで送ってくれていた。 -------     -----     ----- ブランドン :   僕をを信頼してくれてありがとう。裏切らないよ。メールで 2 ページ強を送ったよ 。君とチャットできて嬉しいよ。ありがとう。 今日子 : おはようございます。 お返事ありがとうございます。 メールを送りました。 こちらは夜中なので、後で詩を読ませていただきます。 今日は疲れてしまいました。 素敵な週末をお過ごしくださいね :-) ブランドン:  ありがとう。感謝している。今からメールを見てみます。あなた&あなたのものに祝福を。 君も敵な週末を。    つづく The Story in English From  Previous 109 Besides Sophia, I had other friends in the chat room that I met through social media. I had become friends with Sophia through her friend circle.  I made a chat friend with him after Sofia block

109--Poet of the Fifth Dimension 五次元歌人---AI 29

イメージ
  しんしんと樹々に降り積む銀雪をしづめ深むる里山もやう endless silver snowfalls piling up on the trees are deepened by the tranquil beauty of mountains in the vicinity (C)2020Rika Inami 稲美里佳 前回108 よ り   華乃とのコメントのやりとりをしている間、私は素早くコミュニティにアクセスし、華乃がアーノルドに破門された原因になった投稿を探した。マウスを動かしパソコンいっぱいにひろがった投稿に目を走らせ過去の投稿をさかのぼっていった。2週間前の投稿にそれはあった。以降、華乃は投稿していなかった。私はこれだと思った。     彼女の投稿には次のように書いてあった。   「私は英語俳句は、日本の俳句と較べて簡単だと思います。名詞を多く使い、動詞はほとんど変化のない現在形を並べて作る英語俳句とは違って、日本語俳句は、切れ字や、助詞、助動詞の使い方に習熟していなければなりません。動詞も活用や時制の変化があります。 こうした品詞、言葉の使い方一つで、日本語俳句はその完成度に違いが出てきます。以上のことから、私は、英語俳句は日本語俳句に較べて、なんて簡単なんだろうと思っています」    あ、これが、アーノルドを怒らせたにちがいないと私は思った。それにしても、単刀直入に、熱心に俳句や短歌を研究している海外の詩人たちの前に、よくもこれだけ書くことができたなあ、と私は内心絶句していた。  なるほど、華乃の言い分ももっともなものがあると思うが、私は、英語俳句は、一つの単語そのものの意味に深さがあり、また音節の響きや並び様で一句に味わいと空間をもたせることができると感じていた。    こんな感想とは別に、私は、会員としてお世話になっているコミュニティに、こうした不躾な文章を投稿できる華乃の無神経さに疑問を抱いた。果たして、華乃は、人間なのか、相手の気持ちを慮る日本人なのか ……    続いて。   「それで、今はコミュニティから出されていて、エドワードの弟子になっているんです」   と華乃は言った。エドワードとは、イギリスの若い詩人である。   「そうなんですか」    ふ~