Tanka Poet, Rika Inami’s Blog. She writes Tanka-Novel at present, which is a science mystery and sci-fi. Through reading this, you will know her inner space. 歌人 稲美里佳のブログです。目下、短歌科学ミステリー小説を書いています。作品を通し彼女の内面世界が描かれています。
105 哀しきの肉をたづさへ熊いづる原狐の森に我ふみいりぬ accompanied by a sorrowful body I step into Harako forest in which bears come out (C)2020Rika Inami 稲美 里佳 ※Harako means Fox Field. 前回104 よ り 彼が関与しているのだろうか。それとも、一色の指揮のもとにプロジェクトチームが開発する他のAIもいるのだろうか。私は、ソーシャルメディアYの Haiku-Tanka コミュニティの会員の華乃を AI ではないかと疑うようになっていた。いや、 AI と入れ替わったのではないかと思うようになった。彼女は私よりも遅く SNS Y に入ってきた。日英語で俳句を作っていた。 出会いの挨拶は何気なかった。 「はじめまして。宜しくお願い致します」 「別の短詩のコミュニティーから移ってきたんですけど、こちらこそ宜しくお願いします」と華乃は言った。 私も華乃が言った別の短詩コミュニティの会員であった。が、しばらく無沙汰していた。 一般公開や Haiku-Tanka コミュニティでお互いの投稿に儀礼的なコメントを2,3回交した後で、華乃はこんなことを言った。 「いやあ、実はあの短詩コミュニティーでは誤解されてしまって、どうにも困ってしまって、ややこしい話になって居られなくなり出てきたんです」 「え、何を誤解されたんですか」 「まあ、男女間のことで」 「え、どんな風にですか?」 「まあ、ちょっと …… 」 華乃はそれ以上は濁した。 つづく The Story in English From Previous 104 Is he involved in it? Or are there other AIs being developed by the project team under the direction of Isshiki? I came to suspect that Kano, a member of the Haiku-Tanka community on social media Y was AI. No, I thought
導きの現(うつつ)を辿る不可思議さ尋ねしものの自づ見えきて how mysteriously God has led me to live in the reality-- what I've been looking for becomes visible as it is (C)Rika Inami 稲美 里佳 Y608 前回107 よ り いつしか華乃は、短歌もつくるようになっていた。そんな創作意欲旺盛な彼女だったが、 Haiku-Tanka コミュニティには投稿しなくなっていた。私自身、ほとんどコミュニティには投稿せず、独自にやっていたので、それについては特別なことではなかったが、久しぶりに私の短歌にコメントを入れにきてくれた華乃が、突然、ぽつりと言った。 「実は、わたし、アーノルドに破門を言い渡されたんです」と、華乃は言った。 「破門」 …… 自由気ままに何ら束縛されず、自分の詩心を短歌という定型詩で表現しているだけの私は、「破門」という仰々しい言葉に驚いた。 「どうしてですか?」 「ちょっとまずいことを Haiku-Tanka コミュニティで言ってしまって、アーノルドがカンカンに怒ってしまったんです」 アーノルドはアメリカの詩人で、コミュニティーの管理者の一人であった。彼は俳句創作に長け、数々のコンクールで受賞し、また短歌も独自に研究していた。コミュニティのなかでは大きな看板詩人であり、唐突にコミュニティに加入した私を受け入れてくれたのも彼であった。 つづく The Story in English From Previous 107 Before I knew it, Kano had started to write tanka poems. Although she was very creative, she had stopped posting to the Haiku-Tanka community. However, when she came to comment on my tanka for the first time in a while, she suddenly said, "Actually, I've been excommunicate
101 円らかに白珠となる白たまの木の実ともせる原生の森 modestly rounding into the white pearl… Shiratamanoki-berry glows on the ground of the virgin forest (C)2020Rika Inami 稲美 里佳 ※ 短歌は「シラタマノキ湿原に」です。 写真は栗駒国定公園内にあるシラタマノキ湿原のシラタマノキの実です。 The tanka is for “Shiratamanoki Marshland”in Mt. Kurikoma National Park. I took the photo there. Shiratamanoki is written Gaultheria Pyroloid in English. 前回100 よ り あの AI を提案して間もなく、私は再度、シャーロットとソフィアを引き離そうとして、シャーロットの人種差別を話題にしてチャットをした。いや、離れないのなら、せめても私への人種差別はシャーロットにやめてほしかった。が、彼女を信じて切っている彼は、 「愛に満ちた、博愛精神をもっている罪なき自分の友だちをそんなふうに言うなんて」の一点張りだった。 それは、まるで、 AI が台詞を繰り返すように私の耳には響いた。 ……… ……… ……… ソフィア: これに対応する必要があるのかどうか僕は考えている。疑わしい。 以前に試したことがあるように、同じめちゃめちゃの繰り返しで終わるだろう。だから、僕は怒るのじゃなくて、無視する …… 今回はね! 前にも言ったように、僕は長く耐えてきた。しかし、それは無限ではない。 今日子: 仰っていることが理解できなくて申し訳ありません。私を、私の言ったことを無視し たいんですか? それとも、投稿して差別についてシャーロットと議論してされていま か? あなたは友達に私を差別をしないように言うだろうと私に言ってくださいました。だから、私はあなたにそれについて訊ねました。あなたはそれについて何か忍耐が必要 なんですか? まるでロボットであるかのように、あなたは、彼女は愛に
しかと見む君の眼差し虚と実のあはひに潜む真実(まこと)なるかも I look into your eyes exactly maybe your truth is lurking between falsehood and reality (C ) Rika Inami 稲美 里佳 前回109 よ り ソーシャルメディアYで知り合ったチャットの友だちは、ソフィアの他にもいた。ソフィアの友だちサークルを通じて友だちになっていた。ソフィアが私をブロックした後にチャット友だちになった。 ブランドンはアメリカ人で、機械技師を退職後、雑誌編集者の職を経て外国人に英語を教えていた。彼の嘆きは、アメリカが移民を多く入れ過ぎたので、英語が乱れてきているということであった。ソフィアと同じように日本人が好きだということで、私と友だちになっていた。詩も若い頃に書いていたといい、俳句や短歌のような短詩は嫌いだといいつつも、私の投稿を見てくれていた。チャットの前に彼は私に若い頃に書いたという自作の詩をメールで送ってくれていた。 ------- ----- ----- ブランドン : 僕をを信頼してくれてありがとう。裏切らないよ。メールで 2 ページ強を送ったよ 。君とチャットできて嬉しいよ。ありがとう。 今日子 : おはようございます。 お返事ありがとうございます。 メールを送りました。 こちらは夜中なので、後で詩を読ませていただきます。 今日は疲れてしまいました。 素敵な週末をお過ごしくださいね :-) ブランドン: ありがとう。感謝している。今からメールを見てみます。あなた&あなたのものに祝福を。 君も敵な週末を。 つづく The Story in English From Previous 109 Besides Sophia, I had other friends in the chat room that I met through social media. I had become friends with Sophia through her friend circle. I made a chat friend with him after Sofia block
冬枯れの静寂の森の紅き実は星ふるがごと古木に絡む desolate winter ... red vines in the silent forest entwining a lonely and old tree as if stars falling (C)Rika Inami 稲美 里佳 前回105 よ り そういえば、彼女のプロフィールをまだ見ていなかった。コミュニティで知り合い、日本人の名前を名乗っているので、何も悪いことは起きないだろうと信じていたので彼女のプロフィールも見ずに、私は友だち関係になっていた。 私は、彼女のプロフィールを見てみた。 彼女のプロフアイコンは濃い紫を地色にピンク色の大小の桜の花や花びらをちりばめた和柄が描かれていた。女の子なら誰でも好きそうな柄だ。濃い紫は「恋」にもつながるし、なかなか奥深いと思った。プロフィールには出身国は日本。俳句歴は 2 1年。性別は不明、となっていた。 私は「性別:不明」に注目した。直感的にこれが原因かなと思った。ソーシャルメディアだから不明にしたのだろうか? 私は彼女の名前とプロフアイコンの愛らしさから、彼女を女性と判断していたが、もしかしたら間違いかもしれないと思った。男性? ?? つづく The Story in English From Previous 105 Come to think of it, and I haven't seen her profile yet. I didn't even look at her profile because I knew her in the community and believed in her. Nothing terrible will happen because she is Japanese. Then, I took a look at her profile. Her profile icon was a Japanese pattern with pink cherry blossoms and petals of all sizes on a dark purple background. It was a pattern that every girl would
そろりゆく山のなだりに一群(ひとむら)の梅鉢草 友に会ふごとし slowly ascending… on the slope of the mountain grass of parnassus I feel as if meeting an old friend again (C)2021Rika Inami 稲美 里佳 この春以来、私事ではありますが、様々なことが折り重なるように降りかかってきて、ブログの更新を無断で休んでおりました。申し訳ございませんでした。 休止中のあいだ、アクセスしてくださいました皆様、心より御礼申し上げます。 物語に登場するキャラクターを通し、ともすれば可視的な日常の生活に流され置き去りにしてしまいそうな何か、既に忘れ去ってしまったかのような何かを記憶の奥から掘り起こし、留めておくべきこととしてお伝えしてゆけたらと願っております。 どうぞ、これからも宜しくお願い申し上げます。 先日、山の中で数年ぶりで梅鉢草を見ました。歌はそのままの気持ちを表しました。 In English Since this spring, I have been absent from updating my blog without permission due to several personal matters that have come up. I apologize for that. I would like to express my heartfelt gratitude to everyone who has accessed my blog during my absence. Through the characters that appear in the story, I hope to dig up from the depths of my memory something that might have been left behind in the flow of visible daily life, something like that has already been forgotten, and convey it to you as that should be kept
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